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シンギュラリティサロン#5 白山 晋 「ディープラーニングによって人工知能は実現できるか」

さる2015年6月20日、グランフロント大阪・ナレッジサロンにて、シンギュラリティ・サロン「第5回公開講演会」を開催しました。

今回は、東京大学の白山晋さんを講師に迎え、今、話題のディープラーニングについてお話をいただきました。

前半はニューラルネットワークからディープラーニングにつながる、技術的な解説。ディープラーニングは、ニューラルネットワークの層が深くなったものとみなせること、また、ニューラルネットワークは脳の情報処理にヒントを得たものだが、いったんモデル化された後は純粋に数理的な処理の問題となり、生物の脳で行われている情報処理と同一である保障はない、ということなどを、数式と実例を交えて丁寧に説明してくれました。

後半の、「人の知能を定量的に測ることができるか」という問題については、少なくとも行動を数値化することはでき、そこから知能の定量評価ができるかもしれない、という仮説をヒトの視覚を例にしてお話いただきました。

ディープラーニングはパラメータ依存性、つまりノウハウに依存する部分がまだ大きいことなどから、白山さんは、ディープラーニングで強い人工知能をを実現するのは難しいのではないか、という見方。しかし、逆に言えば、ディープラーニングのパラメータ探索が脳の情報処理の解明につながる可能性もあり、また、ニューラルネットワークはすでに産業のさまざまな分野で実用化されていて、脳科学の知見をうまく取り入れればディープラーニングが発展する可能性もある。まずは応用範囲を拡大して使っていくことが大事なのでは、という提言もありました。

現在「バズワード」的に使われる「ディープラーニング」という技術を実践的・数理的に分析したお話には、多くの示唆がありました。比較的数式が多いプレゼンテーションでしたが、それゆえに、じっくりと勉強できる貴重な資料です。

*プレゼンテーション資料ダウンロード:

シンギュラリティ・サロン「第6回公開講演会」開催のお知らせ

シンギュラリティ・サロン「第6回公開講演会」を、次の通り開催します。

日時 2015年7月5日(日)13:30- 15:30
場所 グランフロント大阪・ナレッジサロンプレゼンテーションルーム(アクセスはこちら
題目
13:30-15:00 講演「全脳アーキテクチャ実現への長き道のりをいかに支えるか」山川 宏 (ドワンゴ人工知能研究所 所長)
15:00-15:30 自由討論
(講演・自由討論の配分は、当日の状況にあわせて調整します)

定員 100名(先着順。申し込み多数の場合は、悪しからずお断りする場合があります。)
※入場料無料 ご来場の際はナレッジサロン受付けでお名前を伝えてください。

講演概要
人間並みに汎用的な知能を備えた高度な人工知能を工学的につくり上げるための研究開発アプローチとして,人間をはじめとする脳全体の情報処理アーキテクチャを参考とすることが最有力であると考え,このアプローチを「全脳アーキテクチャ」と呼んでいます.近年における計算機リソースの増大と機械学習の進歩,さらに神経科学知見の急速な蓄積により,このアプローチが現実的なものになってきました.

本講演では,まず全脳アーキテクチャの概要を述べると共に,現状の研究動向について述べます.そして人間レベルの汎用人工知能の実現に到達するまでの,数十年に渡る長い道のりにおいて一貫して脳に学ぶ研究方針を堅持することを宣言する組織としてのNPO発足の準備を進めていることについても触れます.

共催
株式会社ブロードバンドタワー、一般社団法人ナレッジキャピタル

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定員に達しましたので申込みは締め切りました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

シンギュラリティ・サロン「第5回公開講演会」開催のお知らせ

シンギュラリティ・サロン「第5回公開講演会」を、次の通り開催します。

日時 2015年6月20日(土)14:00- 15:30
場所 グランフロント大阪・ナレッジサロン・プロジェクトルームG/H(アクセスはこちら
題目
14:00-15:00 講演「ディープラーニングによって人工知能は実現できるか」白山 晋 (東京大学大学院工学系研究科・システム創成学専攻・准教授)
15:00-15:30 自由討論
(講演・自由討論の配分は、当日の状況にあわせて調整します)

定員 36名(先着順。申し込み多数の場合は、悪しからずお断りする場合があります。)
※入場料無料 ご来場の際はナレッジサロン受付けでお名前を伝えてください。

講演概要
ニューラルネットワークは,脳の情報処理にヒントを得て生まれ,脳を模倣するように発展してきた学習器として知られている.ディープラーニングは,それまでのニューラルネットワークの欠点を補う形で提案されたものである.文字認識や画像認識などで高い性能が示され,研究が急速に進むことになる.しかし,得手不得手があることがわかってきている.また,不得手を克服するための研究も進んでいるが,画像や音声のような特徴空間を介して再構築できる対象以外では苦戦しているということも聞く.
 ディープラーニングを“人工的に知識を取得する手段,あるいは生み出す仕組みそのもの”としてみれば,人工知能の文脈でその発展を見ていくのがよいかもしれない.一方,特徴量抽出の一つの方法や最適化問題の一つの解法手段などというような見方をすれば,脳の情報処理を模倣するという意味(意義)は薄れる場合も多い.例えば,工学では,人工知能という文脈を離れてニューラルネットワークが使われることも少なくない.「ディープラーニングによって人工知能は実現できるか」は,“人工知能”,あるいは“知識”の定義の問題に帰着するように思える.
 この講演の前半では,ディープラーニングの原理を確認するとともに,そのメカニズムについて出来るだけわかりやすく説明することで,“人工知能”,あるいは“知識”について考える契機を提供したいと思う.
 後半では,個人が持つ,隠れた(あるいは隠された)知識に注目する.知能の定義の問題を残すことになるが,人間1人の知能を定量化できるか(測ることができるか)という問題について考えてみたい.具体的には,行動計測によって個人の行動の違いが明らかにされたいくつかの事例を紹介することからはじめる.それらの事例にもとづき,熟練者と非熟練者(専門家と非専門家)の行動の違いから隠れた知識が顕在化される可能性について述べる.

共催
株式会社ブロードバンドタワー


定員に達しましたので申込みは締め切りました。たくさんのご応募、ありがとうございました。
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シンギュラリティサロン#4 松田卓也 X 塚本昌彦「私たちはシンギュラリティへの道をどう進むべきか」

さる2015年5月23日、グランフロント大阪・ナレッジサロンにて、シンギュラリティ・サロン「第4回公開講演会」を開催しました。

今回は当サロンのリーダーである松田卓也氏・塚本昌彦氏の登壇の「ダブル登壇」。以前おこなわれた両氏の講演をふまえ、「私たちはシンギュラリティの道をどう進むべきか」というテーマを設定、テーマに関するそれぞれの意見をショート・プレゼンで述べた後、来場者の質疑応答も加えた、はじめての対談形式のサロンを企画しました。

きたるべきAI時代にそなえ「プチ天才」を集めた少数精鋭チームを作るべき、という松田氏と、まずはウェアラブルから始めて、埋込み型デバイス、ナノボット・マインドアップローディングへと進むべきという塚本氏。「人類は『超知性』へと進化する」という方向性は一致する中でも、部分的には微妙な違いもあり、今後、人工知能に関するさらに枠をひろげた議論がますます重要になりそうです。

あいかわらずの鋭いユーモアも交えたお二人のトークの後は、ナレッジサロンのソファに移動して恒例の意見交換を行いました。

*プレゼンテーション資料ダウンロード:


【講演内容変更のお知らせ】シンギュラリティ・サロン「第4回公開講演会」

シンギュラリティ・サロン「第4回公開講演会」へのご応募、ありがとうございました。
諸事情により、本講演会の講演者・講演内容が次の通り変更になりましたのでお知らせします。

  • 講演者:「山川宏(ドワンゴ人工知能研究所)」から、「松田卓也(神戸大学名誉教授)、塚本昌彦(神戸大学教授)」に変更。
  • 講演内容:山川氏の講演「全脳アーキテクチャ実現への長き道のりをいかに支えるか」から、松田・塚本両氏による対談「私たちはシンギュラリティへの道をどう進むべきか」に変更

開始日時・開催場所には変更はありません。以下に改訂後のイベント内容を掲載します。

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日時 2015年5月23日(土)13:30- 15:00
場所 グランフロント大阪・ナレッジサロン・プロジェクトルームG/H(アクセスはこちら
題目
13:30-14:30 対談「私たちはシンギュラリティへの道をどう進むべきか」 松田卓也(神戸大学名誉教授・シンギュラリティを語る会代表)、塚本昌彦(神戸大学教授)
14:30-15:00 自由討論
(講演・自由討論の配分は、当日の状況にあわせて調整します)

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講演者・講演内容に変更が生じましたこと、まことに申し訳ありません。心よりお詫び申し上げます。
しかし、変更後の内容(対談)もエキサイティングな「シンギュラリティ論」になる予定ですので、変わらずご参加いただけましたら、運営者一同うれしい限りです。

なお、不参加の方は、admin@singularity.jpあて、ご一報いただければありがたいです。

※本公開講演会は、株式会社ブロードバンドタワー様の後援をいただいています。

シンギュラリティ・サロン「第4回公開講演会」開催のお知らせ

シンギュラリティ・サロン「第4回公開講演会」を、次の通り開催します。

日時 2015年5月23日(土)13:30- 15:30
場所 グランフロント大阪・ナレッジサロン・プロジェクトルームG/H(アクセスはこちら
題目
13:30-15:00 講演「全脳アーキテクチャ実現への長き道のりをいかに支えるか」山川 宏 (ドワンゴ人工知能研究所 所長)
15:00-15:30 自由討論
(講演・自由討論の配分は、当日の状況にあわせて調整します)

定員 36名(先着順。申し込み多数の場合は、悪しからずお断りする場合があります。)
※入場料無料 ご来場の際はナレッジサロン受付けでお名前を伝えてください。

講演概要
人間並みに汎用的な知能を備えた高度な人工知能を工学的につくり上げるための研究開発アプローチとして,人間をはじめとする脳全体の情報処理アーキテクチャを参考とすることが最有力であると考え,このアプローチを「全脳アーキテクチャ」と呼んでいます.近年における計算機リソースの増大と機械学習の進歩,さらに神経科学知見の急速な蓄積により,このアプローチが現実的なものになってきました.

本講演では,まず全脳アーキテクチャの概要を述べると共に,現状の研究動向について述べます.そして人間レベルの汎用人工知能の実現に到達するまでの,数十年に渡る長い道のりにおいて一貫して脳に学ぶ研究方針を堅持することを宣言する組織としてのNPO発足の準備を進めていることについても触れます.

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※本公開講演会は、株式会社ブロードバンドタワー様の後援をいただいています。

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定員に達しましたので申し込みは終了しました。多数のご応募ありがとうございました。
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シンギュラリティサロン#3 一杉裕志 「ヒト型AIは人類にどのような影響を与えうるか」

さる2015年4月18日、グランフロント大阪・ナレッジサロンにて、シンギュラリティ・サロン「第3回公開講演会」を開催しました。

今回のテーマは、産業技術総合研究所の一杉裕志氏による「ヒト型AIは人類にどのような影響を与えうるか」。一杉氏は、人工知能、神経科学、認知科学の領域を横断した汎用人工知能(AGI)開発をめざす産学官連携グループ、『全脳アーキテクチャ -whole brain architecture-』のリーダーの一人でもあります。

一杉氏は冒頭「人間の脳のしくみは、一般の人が思っている以上に解明されている」と言い、これまで書かれた論文を検索するだけでも十分な情報が得られると主張。プレゼンテーション前半の技術面の解説では、人間特有の大脳皮質は6層からなるコラム構造をもっており、その情報処理アルゴリズムはベイジアンネットで説明できるという知見を紹介。これを元に開発されるヒト型AIは、人間の脳と同じ思考特性をもち、人間と同じように学習していくこと、そして、ヒト型AIは人間社会のしくみに適合しやすく、将来は機械的AIよりも早く、安く開発できるだろうと述べられました。

プレゼンテーション後半は、ヒト型人工知能が社会に与える影響と安全面での対策について、さまざまな面から問題提起と解決案を提示。ヒト型AIと社会の関係を、幅広い視点に独自の見解を交えながら、わかりやすくお話いただきました。「人が同情しやすいAI(ロボット)は危険。かわいくないAIを開発するような法規制が必要」という提言など、いずれも「目から鱗が落ちる」ようなユニークな提言でした。

お話に触発された会場の参加者からも多数の質問・意見がだされ、熱気に満ちた2時間でした。

*プレゼンテーション資料ダウンロード:

シンギュラリティ・サロン「第3回公開講演会」開催のお知らせ

シンギュラリティ・サロン「第3回公開講演会」を、次の通り開催します。

日時 2015年4月18日(土)14:00- 15:30
場所 グランフロント大阪・ナレッジサロン・プロジェクトルームG/H(アクセスはこちら
題目
14:00-15:00 講演「ヒト型AIは人類にどのような影響を与えうるか」一杉裕志 (独立行政法人 産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門)
15:00-15:30 自由討論
(講演・自由討論の配分は、当日の状況にあわせて調整します)

定員 36名(先着順。申し込み多数の場合は、悪しからずお断りする場合があります。)
※入場料無料 ご来場の際はナレッジサロン入り口でお迎えしますので、入口ロビーでお待ちください。

講演概要
ヒトの脳全体の情報処理アーキテクチャ(全脳アーキテクチャ)を模倣することによって実現された汎用人工知能を、「ヒト型AI」と呼ぶことにする。ヒト型AIは、実世界とインタラクションし、自律学習・自律行動をする知的エージェントである。
計算論的神経科学の進展,機械学習技術の成熟、計算機速度の向上等により、遠くない将来にヒト型AIが出現する可能性が高まってきている。この技術が出現した時、どのような形で運用され、その結果、経済、人口動態、政治形態、倫理は長期的にはどう変化し得るだろうか。また、生物種としての人類はどのように変貌していくのだろうか。
筆者がヒト型AIの実現を目指す研究を続けてきた過程でたびたび受けてきた質問と、それに対する筆者の現時点での考えを述べる。

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定員に達しましたので申込みは締め切らせていただきました。多数のご応募ありがとうございました。
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シンギュラリティサロン#2 塚本昌彦「シンギュラリティとは何か?〜ウェアラブルから始まる人類の未来」

さる2015年3月2日、グランフロント大阪・ナレッジサロンにて、シンギュラリティ・サロン「第2回公開講演会」を開催しました。

第2回の講演は、”ウェアラブルの伝道師”塚本昌彦氏による「シンギュラリティとは何か?〜ウェアラブルから始まる人類の未来」。

「世の中一般のシンギュラリティの定義に異論がある」という塚本氏は、シンギュラリティの主役は人工知能ではなく「超知能」であると主張、シンギュラリティとは、より広く「科学技術の発展曲線が特異点となる日」であり、超越(トランセンデンス)するのは人工知能ではなく人類である、という論旨をユーモアを交えて展開されました。

そして、結論は「人類が超越した超知能への第一歩は『ウェアラブル』から始まる」。さすが「ウェアラブルの伝道師」です!

講演後は「人工知能(超知能)のリスクは今までの科学技術とどう違うのか」、「人工知能(超知能)ほんとうに意識をもつことができるのか」といったディープな質疑応答が続き、閉会後もナレッジサロンで(お酒を飲みながら)塚本・松田氏と出席者の間で熱い議論がかわされました。

*プレゼンテーション資料ダウンロード:

超知能をテーマにした連載小説、オンライン連載開始!

松田卓也氏の描きおろし小説「森君とギリシャの神々による世界征服と超知能への道」のオンライン連載が始まりました。
世界征服と超知能作成のノウハウがつまった、かなり「ぶっとんだ」SF小説です。ぜひご愛読を!

「森君とギリシャの神々による世界征服と超知能への道」概要

ポスドクをしているしがない高学歴ワーキングプアーの森法外くん。ある日、ビーナスやゼウスなどのギリシャの神々に、ともに世界征服を行おうと提案される。アメリカに先駆けて、日本からシンギュラリティを起こし、超知能を作って世界の平和を守ろうというのである。森君は学問と戦いの女神アテナの特訓を受け、愛と性と繁殖の女神ビーナスの誘惑をうけながら成長していく。そして日本で超知能を作るための活動を開始する。

»「森君とギリシャの神々による世界征服と超知能への道」