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第1回シンギュラリティシンポジウム ③「ウェアラブルの未来」塚本昌彦

ここ数年ウェアラブルは大変盛り上がっています。私は15年前からHMDを身に付けていてやっとこの時代が来たかと思いましたが、今年になって残念ながらIoT、人工知能に追い抜かれました。ウェアラブルは難しいと言われ、難航していますね。たくさんのハードルがあり、作り手使い手の双方の経験が足りていません。
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第1回シンギュラリティシンポジウム ②「AIコンタクトセンターに見る未来」石田正樹

まずはなぜAIでビジネスをやるのかということについてお話したいと思います。ここ20年間のGDPの伸び率を他国と比較してみると、日本だけがマイナス成長です。これは日本が技術革新ができていない、生産性が向上していないという事を示しています。他のアジア諸国では15歳から64歳までの生産年齢人口が増加しているのに比べ、日本は2006年をピークに7年連続減少、27万人減少しています。つまり生産する人がいないのです。技術革新をするしか日本の未来がないのです。
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第1回シンギュラリティシンポジウム ①「主宰者挨拶」

この度第一回シンギュラリティシンポジウムを開催することになりました。

シンギュラリティサロンは、日本からシンギュラリティを起こそうということで大阪にて設立されました。世話人は私の他、神戸大学教授・塚本先生、Xooms保田氏、ブロードバンドタワー根本氏、Eyes, Japan山寺氏です。2014年WIRED若林さんとお会いしたのがきっかけで、2015年9月経産省も共催し、WIREDシンポジウムを開催することになりました。大変な反響がありました。
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シンギュラリティサロン#16 姫野 龍太郎「名人の技、その身体の動きは普通のプロとは違うのか」

さる2016年5月15日(日)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第16回公開講演会」を開催しました。

今回の講演者は、理化学研究所情報基盤センター長の姫野龍太郎さん。京都大学工学研究科修了後、日産で数値流体シミュレーションに携わり、その後、理化学研究所で、生体力学シミュレーション(人体などを対象とした力学シミュレーション)、スーパーコンピューター“京”の開発を主導されてきました。

現在は、コンピューターの開発と並行して、人体の制御への関心を深めているといいます。姫野さん曰く、「『脳が外界の刺激を受けて学習発達する』ことを考えれば、身体の動きの制御と脳シミュレーションはセットである」。

講演では、ジャイロボールの空気抵抗計算、スーパーコンピューター“京”による脳神経回路シミュレーション、プロ野球選手のピッチングフォームの解析、そば打ち職人の動作解析をお話されました。

以下、姫野さん視点の文章でまとめました。

ジャイロボールの空気抵抗計算

まず、野球のボール周囲の空気の流れの詳細な解析を行った。計算の最中、二種類の回転で空気抵抗が異なることを導き出したが(回転軸を横から見た場合に一回転で縫い目が二本現れるツーシームジャイロ、一回転で縫い目が四本現れるフォーシームジャイロ)、ジャイロボール用のピッチングマシンを使用した実際の実験では、なかなかその差を有意に測定できなかった。

精査の結果、ボールの受ける空気抵抗はボールの縫い目の高さに影響し、ボールの個体差(=縫い目の高さの違い)が、二つの回転の違いの検出を難しくしていることがわかった。ボールを製造する会社に「縫い目の高さが揃ったボールが欲しい」と伝えたところ、「同じ人が縫ったボールの縫い目の高さは同じになる」と聞かされ驚いた。

スーパーコンピューター“京”による脳神経回路のシミュレーション

2006年から2009年にかけて、スーパーコンピューター“京”の開発グループにグループディレクターとして参加した。最近の“京”の成果として、2013年に、当時世界最大規模(神経回路十兆個=ヒトの脳の1/100=カニクイザルの脳)の脳神経回路シミュレーションを行ったことがある。ベンチマークテストの結果、カニクイザルの脳の10秒程度の計算をシミュレートするために、“京”全体のシステムで数時間かかることがわかった。

ヒトの脳の計算をするには京の100倍程度のスーパーコンピュータができれば可能であり、ポスト京プロジェクトで開発するスーパーコンピュータはこの性能規模となっており、完成を楽しみにしている。

プロ野球選手のピッチングフォームの解析

現役20年目(被験者A)と現役2年目(被験者B)の2人の投手のピッチングフォームを、モーションキャプチャーを使って測定比較した。被験者Bはボールを放る際、腕の動きの寄与が著しく大きいのに対し、被験者Aは体幹部分の動きと腕に分散していた。体幹部分の筋肉は腕に比べ大きいため、この部分の寄与が大きいことは、長時間の負荷低減や故障の予防などにつながると考えられる。また実際に、筋肉を動かすエネルギーの何パーセントがボールの運動エネルギーに変換されたかを計算すると、被験者Aが5%以上、被験者Bで4%となり、体幹部分を使用したフォームの変換効率が大きいことがわかる。

そば打ち職人の動作の解析

ある蕎麦屋で上のピッチングフォームの話をしていたら、店主が偶然それを聞いていて、そば打ちの動作の解析に応用できないかという話になった。実際の測定は、名人、弟子、ハイアマチュアの3名にモーションキャプチャーをつけてのそば打ちをしてもらって比較した。そば打ちには様々な工程があるが、測定結果として、名人の動作は弟子に比べて、全体を通して、1.弱いが一定した力で、2.繰り返しの回数が多く、3.体幹部分の分担率が大きいという特徴が得られた。

今後の展望

このような「ヒトの動作」のデータの測定手法を、高齢者のトレーニングの最適化などへ応用できないかと考えている。

(報告:安田 創)

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*講演資料:

シンギュラリティサロン#17 大林茂「実用化が進む進化計算とその応用」

さる2016年6月19日(日)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第17回公開講演会」を開催しました。

今回は、東北大学流体科学研究所・所長/教授の大林茂さんに、「実用化が進む進化計算とその応用」と題してお話いただきました。

以下、講演要旨です。

今回のテーマである進化計算は、生物の進化や遺伝子をヒントにした計算手法だが、2018年に運航開始が予定されている国産ジェットMRJの機体設計に進化計算が取り入れられていたことが知られており、プロジェクトに参加していた講師の大林茂教授から、どのような計算が行われたのかがわかりやすく説明された。マーケットリサーチで大きく変化する設計コンセプトに対し、最適な機体を設計するには相反する要求性能のトレードオフ情報が重要であり、妥協解を見つけるために遺伝的アルゴリズムによる進化計算やデータマイニング、データの可視化といった手法が取り入れられたという。また、こうした計算手法は身近なものづくりにも活かされ、洗濯乾燥機の乾燥ファンを設計する際にも使われているといった意外な話も飛び出した。なお、大林教授は進化計算を応用し、ソニックブームの大幅な減少と燃費削減を実現する超音速複葉翼機「MISORA」の設計にも取り組んでおり、会場ではそうした話も行われた。

(報告:野々下 裕子)

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*講演資料:

シンギュラリティサロン#15 美馬達哉「脳科学とエンハンスメント・その可能性と倫理」

さる2016年4月17日(日)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第15回公開講演会」を開催しました。

今回は、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授の美馬達哉氏が、「脳科学とエンハンスメント その可能性と倫理」と題してお話されました。

以下、講演要旨です。

シンギュラリティの前段階である脳刺激やエンハンスメント(機能増強)といった、「人間の能力を増強すること」が一体どういう意味を持つのか。また、私の専門である神経内科・脳科学の領域で今、何ができるのか。今日はその現状をご理解いただけるといいかと思う。

脳神経倫理(ニューロエシックス)がなぜ必要か

私が立命館大学に移るきっかけの一つになったのが、脳神経倫理(ニューロエシックス)を調べたことだ。人間の脳は宇宙と同じくらい難しいなどと例えられるほど、脳を理解するのは非常に困難である。仮に脳内の情報を読み取れるようになると、その人が何を考えているかが解る。これは大問題だ。観察は科学の始まりである。そして観察して理解することは、強い言葉でいうと支配しコントロールすることとつながるのだ。例えば教育や宗教のように、言葉を使って人の心や行動を変えることはできるだけでなく、物質的なテクノロジーによっても変えることができるとすればどうなるのか?その限界はあるのか?どこまでやっていいのかという議論が今、でてきている。これらがエシックスにつながる。
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シンギュラリティサロン#14 松田卓也「日本からシンギュラリティが起きる?」

さる2016年2月27日(土)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第13回公開講演会」を開催しました。

今回は、わがシンギュラリティサロン主宰・松田卓也先生の登壇! 「来るべきシンギュラリティ」と題して、この1年のさまざまな講演もふまえ、独自の「シンギュラリティ論」をさらにパワーアップして展開されました。

講演の前に開催された、ナレッジイノベーションアワード最終選考回では、めでたく、「コト」部門・優秀賞を受賞。折しも、記念講演?となりました。

(講演要旨は別途追記します)

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*講演資料:

シンギュラリティサロン#13 井上智洋「第二の大分岐-汎用人工知能は雇用を奪うか?経済成長をもたらすか?人々は遊んで暮らせるか?-」

さる2016年2月27日(土)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第13回公開講演会」を開催しました。

第13回目となる「シンギュラリティ・サロンは、駒澤大学経済学部の井上智洋氏を講師に迎え、「第二の大分岐−汎用人工知能は雇用を奪うか?経済成長をもたらすか?人々は遊んで暮らせるか?−」というタイトルで、マクロ経済の視点からAIが経済や雇用に与える影響について話が行われました。

AIの登場が人々の生活や仕事にどのような影響を与えるのか? 雇用を奪うか? それとも遊んで暮らせるようになるのか? といった話題がとりあげられ、その背景にある技術や社会背景についても解説されました。

2030年には人と同じレベルの知性を持った汎用人工知能(以下汎用AI)が登場すると分析。それによって、第4次産業革命という大きな技術革命がもたらされると予想されています。それからさらに汎用AIが普及するまで15年ぐらいかかることから、著書などで予測されている2045年頃にはシンギュラリティが到来する可能性があるともしています。

その際に最も影響を受けるのが労働で、囲碁AIのAlpha Goのような特定の分野で能力を発揮する特化型AIによる技術的失業の時代がやってくるのではないかと言われています。また、汎用AIが登場するとほとんどの仕事がなくなる可能性があり、労働や雇用のあり方そのものを変える必要が出てきます。その大きな変化がおきるのが井上氏が提唱する「第二の大分岐」であり、それに備えて今から汎用AIの研究開発に取り組むことが国の成長にも大きく影響を与えるだろうと指摘されています。

シンギュラリティが到来することに対して多くの人が心配しているのが「AIに仕事を奪われるかもしれない」ということでしょう。それに対し井上氏は「2045年にはAIのおかげで全人口の1割だけが働き、残りは所得配分で遊んで暮らせるようになるかもしれない」という大胆な意見を持っており、「ほとんどの労働をロボットが行うようになれば、人々は労働から解放され、人生を充実させるためにしたいことをするだけでいいユートピアがやってくるかもしれないと」とも話しています。

ただし、遊んで暮らせるようになるには、所得を再配分する仕組みが必要で、その点は、成人全員に株を配るクーポン型市場社会主義や国民全員に最低限の生活費を支給するベーシックインカムなどの解決案があるのではないかとしています。さらに、大きな生活格差が生じないよう、資本を独占されない仕組みや税収のあり方を考える必要があり、「シンギュラリティをユートピアにするには、技術的な課題と合わせて現実に起きる問題を見つめられる専門家がもっと関わることが大事」であるとしています。

そのための活動の一つとして、井上氏は、前回のシンギュラリティサロンに登壇した高橋恒一氏とともに「AI社会論研究会」というAIが社会にもたらす影響についてさまざまな議論を行う勉強会を開催されています。

AI社会論研究会

(報告:野々下 裕子)

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*講演資料:

シンギュラリティサロン#12 高橋 恒一「人類を再発明するのに必要なこと」

さる2016年1月31日(日)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第12回公開講演会」を開催しました。

今回は、理化学研究所 生命システム研究センターチームリーダーで全脳アーキティクチャ・イニシアティブの理事・副代表を務める、高橋 恒一氏が、「人類を再発明するのに必要なこと」と題してお話されました。

以下、講演要旨です。

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シンギュラリティー=人類の再発明

自己改良するAIによる爆発的な科学技術の発展、つまりシンギュラリティーが2045年ごろに起こると言われている。そうなれば人類の歴史上最も大きな出来事になるであろう。そのようなことは本当に起きるのだろうか、そしてそれは本当に2045年頃に起きるだろうか?今日はこのことについて真剣に考えてみたい。

シンギュラリティーに向けて、ロードマップを幾つかの段階に分けて考える必要がある。非常に大雑把に言えば、まずは一般に入手可能な計算機の能力がヒト並み(1H)に到達する2030年頃までの15年、次に人類全体を凌駕する2045年頃までの15年間の二段階がある。

現在から2030年までで具体的な壁となっているのは、プロセッサのエネルギー効率(発熱)だ。熱密度はすでに限界に到達しており、さらなるコンピュータの性能向上のネックになっている。半導体の微細化に関するムーアの法則が終わると言われている2020年ごろ以降も能力向上を続けるためには、ノイマン型から脳(ニューラル)型への移行が必要だろう。脳型コンピュータへの移行が実現できれば、あと3桁から6桁の性能向上は可能なので、2030年ごろに1Hの計算機を一般に普及させることも可能だろう。

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シンギュラリティサロン@東京#6 齊藤元章「プレ・シンギュラリティ ~科学技術の収穫加速的進化による社会的特異点の到来は近い~」

新春最初の公開講演会は、昨年、ベンチャー企業でありながら、Green500でトップ1からトップ3までを独占するという偉業を達成した株式会社PEZY Computingの代表取締役社長 齊藤元章様の講演でした。当日は、通常のサロンの2倍の座席を準備しましたが満席となり、皆様の興味の強さがうかがえました。齊藤様の講演も熱を帯びたものとなり、2時間近いご講演をいただき、質疑応答も含め2時間半超の熱い議論となりました。

講演内容は、収穫加速的進化がどのようにして社会を変化させていくかを
SDカードやレースゲームの画質など様々な例とともに、わかりやすく解説した後、具体的に、新エネルギーが生まれ、地産地消型になりエネルギーフリーに近づくと、農業、工業ともに生産性が劇的に向上するとともに、ものの価格が低下し社会が変化していくということを示されました。

また、シンギュラリティを起こす開発体制としてのスカンクワーク体制が適切であることを、熱核融合の開発の歴史におけるロッキードの小型熱核融合炉の重要性や最近のスパコン開発競争での大型化を例にわかりやすく説明していただきました。

最後に、シンギュラリティの先の形として、コネクトーム(100億個のニューロンと100兆個の接続)が全人類まで拡張されたアーススケールコネクトーム、銀河規模まで拡張されたギャラクシースケールコネクトーム、1500億個の銀河の密結合まで拡張されたユニバーサルスケールコネクトームという夢が広がる概念を提示されました。

(報告:根本茂)