さる2016年6月19日(日)、グランフロント大阪・ナレッジサロンにてシンギュラリティ・サロン「第17回公開講演会」を開催しました。
今回は、東北大学流体科学研究所・所長/教授の大林茂さんに、「実用化が進む進化計算とその応用」と題してお話いただきました。
以下、講演要旨です。
今回のテーマである進化計算は、生物の進化や遺伝子をヒントにした計算手法だが、2018年に運航開始が予定されている国産ジェットMRJの機体設計に進化計算が取り入れられていたことが知られており、プロジェクトに参加していた講師の大林茂教授から、どのような計算が行われたのかがわかりやすく説明された。マーケットリサーチで大きく変化する設計コンセプトに対し、最適な機体を設計するには相反する要求性能のトレードオフ情報が重要であり、妥協解を見つけるために遺伝的アルゴリズムによる進化計算やデータマイニング、データの可視化といった手法が取り入れられたという。また、こうした計算手法は身近なものづくりにも活かされ、洗濯乾燥機の乾燥ファンを設計する際にも使われているといった意外な話も飛び出した。なお、大林教授は進化計算を応用し、ソニックブームの大幅な減少と燃費削減を実現する超音速複葉翼機「MISORA」の設計にも取り組んでおり、会場ではそうした話も行われた。
(報告:野々下 裕子)
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*講演資料:
実用化が進む進化計算とその応用【大林茂】
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