第1回シンギュラリティシンポジウム ③「ウェアラブルの未来」塚本昌彦

ここ数年ウェアラブルは大変盛り上がっています。私は15年前からHMDを身に付けていてやっとこの時代が来たかと思いましたが、今年になって残念ながらIoT、人工知能に追い抜かれました。ウェアラブルは難しいと言われ、難航していますね。たくさんのハードルがあり、作り手使い手の双方の経験が足りていません。

そんな中、ポケモンGOが全米で大ヒットしました。こんなブームになるとは予測していませんでした。ポケモンGOは、スマホを持って実世界を歩き回りポケモンを捕まえ、育て、ジムで戦わせるゲームです。5日で750万ダウンロード、課金14億円売上、任天堂の株価が9000億円アップしました。日本でも間もなくリリースされます。腕時計型「ポケモンGO Plus」(ウェアラブル)も出ます。アイテム課金、集客、広告、イベント動員用ポケモンミューツーなどポケモンGOビジネスはさらに広がるでしょう。

このゲームでGoogleの世界支配が一歩進みました。Googleマップ、ストリートビュー、Ingressからの地理情報活用の流れで他社の全く持たないリソースを有効活用しています。このポケモンGOの成功に触発されて他のウェアラブルビジネスも一気に進むのではないかともいわれています。

さて、私はこの講演でいくつかの予言をします。

予言1 噂ですが、Apple Watch2がもうすぐ出るでしょう。

予言2 Google Glass2も年内に出るでしょう。これは業務用で、民生用も来年には出るのではないかと言われています。

予言3 国内でも業務用HMDがあちこちで使われるようになるでしょう。

予言4 ウェアラブルでの人工知能利用が進むでしょう。顔認識、物体認識、音声認識、翻訳、行動認識、ナビゲーション、レコメンデーション、危険察知、不審者検出、作業支援、移動支援、意思決定支援など。賢くなった人工知能はウェアラブルで非常に有用であり、現場で働くすべての人々の業務内容の根本が変わるでしょう。

ウェアラブルの更に先は何が待っているのでしょうか?機器を体に埋め込むインプラントです。機械やデバイスを神経に直接・間接接続のサイボーグ、さらに脳に電極を差し込む・・・という話になります。

シンギュラリティの話に戻しますが、シンギュラリティは人工知能だけではないのです。定義の話になりますが、私は「人工知能が人類の知能を(はるかに)追い越す日」という定義が間違っていると思います。サンドバーグの論文によりますと、カーツワイル「急速なテクノロジの変化」フレイク「自己増殖する知能」グッド「知能爆発」シンギュラリティ大学「超知能の出現」ビンゲ「予測限界」等々・・・日本での定義を広めたのは、カーツワイルの「ポストヒューマン誕生:コンピュータが人間の知性を超えるとき」ですが、これは誤訳です。原題は「The Singularity is Near: When Human Transcends Biology」です。つまり人間が生物を超えるということです。また、松田先生の「2045年問題」では「コンピュータが人類を超える日」という副題がついています。カーツワイルはコンピュータが人間を超えるのは2029年、その後のシンギュラリティが2045年と言っています。非常に誤解を生みやすい表現ですので、明らかに異なります。

私の定義(塚本案)は、科学技術の発展曲線が特異点=Singularityとなる日です。これを実現するのが超知能で、超知能は人工知能かもしれないし、人間かもしれません。超知能は短期間に科学技術のあらゆる問題を解決します。宇宙、生命、意識他、宇宙旅行や地球外生命、核廃棄や生命の謎について、宇宙外の何かについてもわかるかもしれません。人工知能は危険だと言われます。ホーキング博士は「人工知能の進化は人類の終焉を意味する」といい、人類はもしかしたら人工知能に支配されてしまうかもしれません。防御する方法はもしかしたらないかもしれません。Googleの人工知能を「切るスイッチ」も実現可能か疑問です。

私は、唯一の対抗策は人間強化だと思っています。人類が超知能をもつこと、人工知能を意識の支配下で自由に使いこなすための手段を持つこと、人工知能の発展に負けないスピードで人類が賢くなることが大切です。「ウェアラブルからシンギュラリティへ」という考えにもとづき、まずはウェアラブルを一気に浸透させて人工知能を活用させましょう。そしてBMI BCIおよびコンピュータの脳・神経直接接続(電脳化)、インプラントの展開、特にマイクロロボット、更にナノボットで脳増強します。そして人間が超知能を持つようになり、攻殻機動隊の世界が実現します。
実際すでに、攻殻機動隊のREALIZEプロジェクトが始まっています。また神戸市には「公安9課」が設立されました。私も入りたいのですが残念ながらまだ入っていません。

以上が私のプランです。ここにいらっしゃる方々は私の意見にご賛同頂けたものと考えて宜しいでしょうか(笑)?まずはウェアラブルを着けましょう、そして電脳化を進めましょう。BMI BCIは徐々に進歩しています。脳刺激は医療分野で実用化しています。まずは脳以外の神経刺激から始めましょう。第三の手も必要ですね。

ウェアラブルは日本が主導すべきだと思います。根本的に平和主義・高道徳なのは日本だけです。ポケモンGOの成功は重要なステップになると思います。様々な規制は積極的に取り払うべきで、ドローン、ウェアラブルカメラ、マインドアップローディングや遺伝子改変、クローンの問題などは禁止するのではなく前向きに解決すべきだと考えています。

さて、予言の続きです。

予言5 私は15年以内にサイボーグになる。10年後には脳に電極を差してコンピュータに直接接続したい。5年後には第三の手をつけて立食パーティーの場で名刺交換したいと思っています。

予言6(つけたし) 今日の参加者は全員1年以内にウェアラブル生活を始めるでしょう。是非日本からウェアラブルをいちはやく推進してシンギュラリティを起こしましょう。不安な方は私の主宰するウェアラブルコミュニティ(NPOウェアラブルコンピュータ研究開発機構、日本ウェアラブルデバイスユーザー会)にご参加ください。

神戸大学教授 塚本昌彦

(報告:大久保香織)

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*講演資料: