さる2015年4月18日、グランフロント大阪・ナレッジサロンにて、シンギュラリティ・サロン「第3回公開講演会」を開催しました。
今回のテーマは、産業技術総合研究所の一杉裕志氏による「ヒト型AIは人類にどのような影響を与えうるか」。一杉氏は、人工知能、神経科学、認知科学の領域を横断した汎用人工知能(AGI)開発をめざす産学官連携グループ、『全脳アーキテクチャ -whole brain architecture-』のリーダーの一人でもあります。
一杉氏は冒頭「人間の脳のしくみは、一般の人が思っている以上に解明されている」と言い、これまで書かれた論文を検索するだけでも十分な情報が得られると主張。プレゼンテーション前半の技術面の解説では、人間特有の大脳皮質は6層からなるコラム構造をもっており、その情報処理アルゴリズムはベイジアンネットで説明できるという知見を紹介。これを元に開発されるヒト型AIは、人間の脳と同じ思考特性をもち、人間と同じように学習していくこと、そして、ヒト型AIは人間社会のしくみに適合しやすく、将来は機械的AIよりも早く、安く開発できるだろうと述べられました。
プレゼンテーション後半は、ヒト型人工知能が社会に与える影響と安全面での対策について、さまざまな面から問題提起と解決案を提示。ヒト型AIと社会の関係を、幅広い視点に独自の見解を交えながら、わかりやすくお話いただきました。「人が同情しやすいAI(ロボット)は危険。かわいくないAIを開発するような法規制が必要」という提言など、いずれも「目から鱗が落ちる」ようなユニークな提言でした。
お話に触発された会場の参加者からも多数の質問・意見がだされ、熱気に満ちた2時間でした。
*プレゼンテーション資料ダウンロード: